アロディニア・異痛症の部位は脊髄神経支配領域を示すデルマトーム(皮膚分節)と一致しません。
シビレ・ピリピリの範囲は神経の支配領域と無関係に現れています。このことは解剖学では説明できない現象なのです。
よって、心が作り出した幻の痛み、脳が強固に記憶してしまった実在しない痛みと言われる理由です。
青:シビレ 赤:ピリピリ痛
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◆ 薬物療法
アミトリプチリン(トリプタノール)、バルブ酸ナトリウム(デパケン、セレニカ)はアロディニア・異痛症に有効か、、、?
セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤デュロキセチンはアロディニア・異痛症に有効か、、、?
非定型抗精神病薬リスペリドン、アリピプラゾールはアロディニア・異痛症に有効か、、、?
プロプラノロールはアロディニア・異痛症に有効か、、、?
NMDA受容体拮抗薬はアロディニア・異痛症に有効か、、、?
ドパミン作動性パーキンソン病治療薬はアロディニア・異痛症に有効か、、、?
プレドニン、抗TNFα薬はアロディニア・異痛症に有効か、、、?
交感神経ブロックはアロディニア・異痛症に有効か、、、?
パルス高周波法による神経ブロックはアロディニア・異痛症に有効か、、、?
脊髄刺激療法SCSはアロディニア・異痛症に有効か、、、?
◆ 運動療法
自発的な運動習慣は効果的です。
運動は脳のドーパミン報酬系を活性化するため、ランナーズハイという言葉があるように運動は快感を呼びます。俗に、走るのは楽しくて癖になるといわれる理由です。このドーパミン報酬系の活性化が慢性痛を治す効果のあることが分かってきました。運動により中脳腹側被蓋野VTAのドーパミンニューロンが賦活され、側坐核に至るドーパミン報酬系を活性化し、前頭前野を元気にします。オススメは一日30分~60分のウォーキングです。ただし、歩きすぎては逆効果です。
◆睡眠療法・メラトニン療法
概日リズム調整がうまく出来なくな ると抑うつや不眠がやってきます。成長ホルモン、メラトニンホルモンの分泌される夜10時の就寝がベストです。メラトニン1~5mgの夜8時~10時内服は効果的です。
◆ 認知行動療法・呼吸法(サムサーラ)
認知行動療法のなかで一番のお勧めは呼吸法です。
fMRIの研究により、吐く呼吸である呼息運動に意識を集中した瞑想者はDMN領域(デフォルトモードネットワーク)の活性化が低いという結果が得られました。これは何を意味するかと言えば、DMNは最近存在の分かった宇宙のダークマターのように脳科学では未知の分野でした。人が何もしていないぼんやりとしたときの脳活動を調べる研究は予想外な結果に至りました。このぼんやりとしているアイドリング状態の脳をfMRIで調べると、多くの分野が活性化していることが分かりました。久賀谷亮によると、このDMN領域が脳全体の60%以上のエネルギーを消費しているという報告もあります。一日数万回も浮かんでは消える自動思考、頭から離れない体のシビレ・ピリピリ痛は、このDMNが作り出しているのかもしれません。吐く呼吸に意識を集中した呼吸法はこのDMNを鎮静化させ、自動思考化したシビレ・ピリピリ痛を緩和すると考えられています。
治療の効果を見ると、物事に集中しているときはなんともないシビレ・ピリピリは比較的治りやすい。
自動思考化し、常時あるシビレ・ピリピリ痛は治療抵抗性で治りにくい。特に、足うら、性器の痛覚過敏は治療抵抗性です。
脳を疲れさせるほど蓄積したストレスは、シビレ・ピリピリ痛として皮膚に症状を現わします。アロディニア・異痛症はストレスの吹き出物とも言えます。
シビレ・ピリピリ痛は様々です。足裏にくるピリピリ痛は難治性です。動物にとって痛みは闘争・遁走に不便です。動物は闘争・遁走中に痛みを感じにくくする痛み抑制系神経を活発にしています。人も無我夢中のときは、あれほど痛がっていた難治性の足裏の痛みを忘れて走ります。
・ 性格ストレス:真面目、几帳面、完璧主義、こだわりなど
・ 睡眠ストレス:遅寝、不規則睡眠、短時間睡眠など
・ 運動不足ストレス:とにかく歩かない、すぐに車を使う
・ 環境ストレス:騒音、光、臭い