脳過敏症とは、長引くストレスにより脳の神経回路に変化が起きた結果です。神経回路の変化のことを神経可塑性または、シナプス可塑性と言います。長引くストレスにより生じた抑圧的感情回路の活性化により、ポジティブな感情である希望、自信、向上心が減少します。自己愛、自尊心は損なわれ自己嫌悪の負のスパイラルに陥っていきます。その結果として、めまい、頭痛、睡眠障害、身体のシビレ、ピリピリ感、疲労感、倦怠感、便秘、下痢、頻尿、生理不順などの多彩な症状を呈するようになります。
脳過敏症の方は症状を治したく複数の医療機関を受診する傾向があります。なかには薬効なく医療難民になる方もおられます。彼らの多くは、抗不安薬、抗うつ薬などの薬剤が次第に増え、気がつけばケモブレイン状態に陥っています。ケモブレインを訳せば、薬剤中毒脳といえます。
ケモブレイン状態に陥った脳過敏症の方の治療には、抑圧的神経回路をポジティブな神経回路に戻す治療が必要です。幸い神経可塑性は、可逆性変化であって非可逆性ではありません。ありがたいことに神経回路を元に戻す方法があります。
今、あなたを苦しめている症状は、「あなたの人生を見つめ直し、変える為の招待状」とポジティブに捉えて下さい。今のあなたは、自分を支えてきた希望、自信、自尊心などの自己価値の下落に苦しんでいます。精神が病んでいるのではなく心が病んでいるのです。心の痛みスピリチュアルペインは、抑圧的感情はもちろん、恐れや怒り、孤独感などが複雑に絡みあった状態です。
脳過敏症からの回復者の間で、非常に一般的な1番目の治癒要因は「運動」です。運動の効果の研究は、40年前から発表されており、運動は身体機能を改善し、気分を高め、生活の質QOLを高めると結論しています。運動は神経認知機能、睡眠、自尊心、疲労感を改善し、いわゆるケモブレインを軽減し、感情を豊かにすることが認められています。私は、受診された人々にあった色々な身体活動を処方しています。
一般的な2番目の治癒要因は「睡眠」です。睡眠は、20万年前の昔から日の出、日没に合わせて時を刻む体内時計（時計遺伝子）により制御されてきました。エジソンが電球を発明したのは1879年です。150年という超短時間のうちに人は、日の出、日没を無視する生活を始めました。20万年の時間に比べると150年は一瞬です。この一瞬の変化に時計遺伝子がついていけるはずはありません。賢明なあなたは、時計遺伝子を尊重することの大切さに気付かれたはずです。健康な睡眠は、多量の成長ホルモンを分泌し、神経可塑性の回復を助けます。
運動を生活の一部にする。早寝早起きを生活の一部にする。あなたは、この二つを直感的に正しいと感じるはずです。直感は奇跡の源です。運動と睡眠はあなたを進むべき正しい道に導く本能の声です。私たちの身体は治るように出来ているのです。
一般的な3番目の治癒要因は「呼吸」です。呼吸は、自律神経のリズムと深い関係にあるからです。計画性なく思い出したら深呼吸をするだけでも効果があります。深く吸って、ゆっくり吐く、２、３回すると不思議と心が落ち着きます。私はサムサーラという呼吸法を教えています。
一般的な４番目の治癒要因は「自己愛」です。自分への愛が増えれば、与える愛も増えます。今の世に不安やうつが増えている要因は明らかです。それは、氾濫するソーシャルメディアです。あなたの周囲に氾濫する情報は、美男美女、幸せな夫婦、幸せな家庭、インスタ映えする情報ばかりです。自分の現実とソーシャルメディアとのギャップを意識した時、そこには誤った比較が生じる危険性があります。自分は劣っていると負の感情を生み出す要因となりかねません。自分は自分、他人は他人です。自己愛回復への効果的な処方箋は、「ソーシャル・デトックス」です。数日間、テレビの電源を切り、スマホを金庫にしまう。自分だけで過ごす時間を持つことでストレスが軽減し、安らぎを取り戻すことができます。
一般的な５番目の治癒要因は「ベキ罠、はず罠」からの自己の開放です。こうあるべきだ、こうあるはずだ、との思い込みはあなたの心を疲れさせ、身体はしんどくなっていきます。考え方の切り替えには意外な方法があります。ベキ罠、はず罠からの脱出方法についてヒントを差し上げます。
人の身体は、治るようにプログラムされています。この治癒プログラムを妨げているのは、あなた自身です。自分を見失わない為に、本来の自己治癒パワーを回復させる為に、運動、睡眠、呼吸、そして時にソーシャル・デトックス、そしてベキ罠、はず罠からの脱出に努めて下さい。脳過敏症の苦しみから解き放たれ、本来の自信と尊厳と平和な自分に戻って下さい。私の診療の大部分は、認知行動療法を主にしたカウンセリングです。私自信が行っているタッピング療法についてもお教えします。希望者には少量の粉薬を就寝前1回処方しています。
大田浩右
